介護事業所の経営者の方とお話ししていると、定量的な観点への関心は
やや低いのかな、と感じることがあります。
要因は様々ありますが、大きく2つの要因があると思います。
一つ目は、経営者の動機
これは介護事業にかかわる方たちが、「利用者さんの喜びのために」、
「ご自分でできることをひとつでも増やせて笑顔になれるように」といった想いが
運営の中心になり、数値は後回しになりがちだからだと思います。
実際、そういう想いにケアマネさんたちも共感し、
利用者さんを紹介し、その事業所は反映していくので、
数値的に疎くても経営が成り立っている場合もあります。
「想い」はとても大切ですし、ある意味正しいと思います。
わたしも、そのような経営者さんの想いが好きで、よくご紹介させていただきました。
2つ目は、売上向上=加算をより多く取得すること、と考える
売上は、客単価×客数です。
客数は、事業所の規模により上限があります。たとえば通常規模のデイサービスなら、
月平均の延べ利用者数は750名以下に設定されており、定員超過は減算定対象になります。
また利用回数は、利用者さんの要介護度やケアマネさんのプランにより定まる部分が
大きいので、デイサービス側でコントロールできない範疇もあります。
となると、売上向上には客単価の向上が必要で、
客単価を向上させるには、加算をより多く取得することが必要になります。
必要になる、と考えるはずです。
介護保険の報酬単価は、「基本単価+加算」です。
基本単価は3年ごとの報酬改定により、
下がることはあっても、
大きく上がることはほとんどありません。
つまり今までの客単価を維持していこうと思えば、加算を取得していくことが必要になります。
国も、加算で「国の考える今後のあるべき姿」を導いているともいえる構造的要因があります。
1つ目の「経営者の動機」
2つ目の「売上=加算をより多く取得すること、と考える」
どちらも正当性があります。
では、何が問題なのでしょうか?
ここで質問です。
以下の数値をパッとお答えできますか?
あなたの事業所の、
・1か月の損益分岐点売上高は?
・売上に占める人件費率は?
・各月の稼働率は?
・利用者さんの平均要介護度は?
いかかでしょうか?
また、これら4つの数字はすべて関係性がありますが、
どのような関係性があるのか、 ご自分なりに説明できるでしょうか。
2つの要因の盲点と、この4つの数値の関係性。
そこからみえる「今後の事業所の戦略の考え方」
については、また別の機会で述べたいと思います。
第2回目「経営分析できてますか?②~経営指標をよみむ~」はこちら
追:コロナ以降、最近徐々に
外食もするようになりました。
先日、税理士の先生とお昼ごはんをご一緒しており、
先生から自伝的著書をいただきました。
とても感銘を受けました。人様のご縁を大切にし、一本筋の通った人生を歩んで
こられたのだなと感じたしだいです。
なかなかわたし自身は、その先生ほどのスケールの大きさはないなと感じましたが、
気持ちだけでも見習いたいと思いました(^^