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就業規則は従業員への周知が必要なのは知っていますが、決められた方法があるのでしょうか?
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就業規則は、作成→労働者代表の意見聴取→労働基準監督署長への届出→周知
の手順です。
そして就業規則が効力を生じるためには、労働者への周知が必要です。
周知方法としては
①常時各作業場の見やすい場所へ掲載し、又は備え付けること
②書面を労働者に交付すること
③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、
かつ作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
と定められています。
ポイントとしては、
(イ)周知は要旨だけの告知では不十分であること
(ロ)従業員がいつでも確認できる状態であれば、上記①~③の方法に限定される
ものではないこと
(ハ)各作業場での周知が必要であること
当該事業場で周知されていなかったことにより就業規則の効力が及ばないと
された判例があります(就業規則に記載する懲戒解雇事由に該当するため解雇したが、
当該労働者の作業場では周知していなかったため、解雇を妥当とする原審を破棄、差戻)
【フジ興産事件・最高二小判 平成15年10月10日】
会社としては以下の取組が望ましいでしょう。
①書面での閲覧や社内ホームページの利用など周知方法を選択する
②閲覧した従業員から閲覧した旨をチェックした書面を得る
③事業所名、周知日時、周知方法の一覧書類を作成し社労士と共有する<周知義務違反は罰金30万以下>
最後に、従業員に就業規則の内容を知らせておくことまでが必要か、ですが
労働者がいつでも就業規則を知ろうと思えばいつでも知りうる状態にしおけば、
内容を知っているか否かに関わらず就業規則の拘束力は認められます。
とはいえ、周知はあくまで効力要件ですので、従業員から質問があれば就業規則の
該当箇所を見ながら説明することが良好な労使関係を築く上でも大切です。
信頼関係ができ定着率の向上にもつながるからです。
【参照条文 労働基準法第89条、第106条 労働基準法施行規則第52条の2
労働契約法第7条】