複数の事業所がある場合は、事業所ごとに就業規則作成の義務があるのか?(常時10人以上の判断基準は法人全体の人数?)


事業所Aに8人、事務所B(両方同市内)に6人の従業員がいます。
事業所と事務所それぞれにに就業規則を作る必要があるのでしょうか?

常時10人以上の労働者を使用する使用者には就業規則の作成義務があります。
この常時10人以上の労働者を使用しているか否かは、
企業単位ではなく個々の事業場単位で判断します。

また事業場は場所的観念で判断します。
つまり、それぞれが場所的に独立したひとつの事業場と認められる場合、
事業所A、事務所Bともにそれぞれ10人未満なので作成義務はありません。


(別パターン)
では、場所的にそれぞれ独立した事業所Aに10人、事務所Bに6人の場合はどうでしょうか。
この場合は、事業所Aは作成義務があり、事務所Bは作成義務はありません。

ただし注意すべき点として、就業規則は従業員に周知することで効力が発生するので、
事業所Aだけでなく事務所Bに対しても周知をする必要があるということです。
就業規則の作成義務の判断は事業場単位ですが、
周知は各作業場に対し行う必要があるからです。

(別パターン2)
では、場所的にそれぞれ独立した事業所Aに10人、事務所Bに10人の場合はどうでしょうか。
この場合、それぞれに就業規則作成の義務があります。

※「常時10人以上」には、一時的に10人未満になることがあっても、
状態として10人以上の労働者を使用しているということです。
正社員、パートタイマー、契約社員、管理監督者など呼び名に関係なく
労働者に含まれます(ただし直接雇用していない派遣労働者と請負労働者は数に含めません)

【参照条文 労働基準法第89条 労働基準法施行規則第49条第1項、第52条の2】


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