令和6年度の介護報酬改定により、介護報酬全体で1,59%の引き上げが決まりました。
そのうち0,98%は介護職員の賃上げにあてられます。また補正予算により、介護職一人あたり
6000円のベースアップが確保されました。
これは令和6年度の報酬改定施行予定の6月よりも前倒しで支給されるものです。
財務相と厚生労働相の合意により、介護職員のベースアップ2,5%を目指すと発表もありました。
とりあえず前倒しで行われる6000円のベースアップと報酬改定による2,5%のベースアップが、
現在予定されている3加算(処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算)
の一本化に組み込まれるのかは未だ不明ですが、現在のベースアップ等支援加算に相当する部分と考えるなら、
6000円より更なる上澄みもありえるのではないかと予想されます。
もちろんいくらベースアップが支給されるのかも重要ですが、私は統合される介護職員等処遇改善加算をだれに
どう配分するかも重要だと考えます。3加算統合後も介護職員を中心にした配分になると思われますが、
特定処遇加算とベースアップ等支援加算は介護職以外にも配分可能なため、引き続き介護職以外への配分が可能な制度として維持されると思われます。なぜなら、社会維持審議会介護給付費分科会でも、介護職以外の処遇改善とのバランスについて論議されているからです。
つまり、介護事業所としての取組課題は、
①新加算の配分を介護職に限定するか否かの方針を決めること
②新加算の配分基準を明確化すること
③現行の配分から新加算に移行する際、加算配分が低下する職員をださないこと
(低下する職員がいる場合、事業所として職員の納得性をどう伝えていくか)
と考えます。
このような課題が生じる背景には、加算を取得するためにキャリアパスを作成したものの
実質的な運用が不十分であることも一因と考えます。
それは、事務負担がかかることや、昇給を行う際の人事考課を行う体制が作れない、といったことが考えられます。
いずれにせよ、新加算はこういった運用上の負担を軽減する方向性ですので、この報酬改定を機に
評価制度を含む人事制度の見直しを行い、人材育成につながる人事制度の運用を行うチャンスです。
加算配分については、丁寧な説明を行い制度運用上での納得性や透明性を担保することは
信頼関係向上にもつながり、定着率向上に寄与すると思います。
そのため私も今後の動向を注視し、お客様によりよいご提案ができるように学んでいきたいと思います。