いつもそこにある花束


以前わたしがケアマネをしていた時に、たまに仕事でよく通る道がありました。
そこは学生の通学路でもあります。
もうかれこれ10年以上は経つかと思います。
ひとりの女学生が通学途中に建物の壁が倒れてきて下敷きになってしまったのです。
残念なことにその女学生は亡くなってしまいました。

いつもそこを通ると、新鮮な花束がそこにおいてありました。
1年経っても、3年経っても、5年経っても、いつも新鮮な花束がおいてありました。
どなたがそうしているのかは分かりません。
わたしは親御さんがずっとずっと新しい花束を置いているのでは、といつも想像していました。

先日、仕事から事務所に戻る際に、その道を久しぶりに通る機会がありました。
わたしはふと気になって、花束はあるのだろうかと車の中から、その場所へ視線を移しました。

新鮮な花束がいままでとかわりなくそこにありました。

その道のそばを、今の女学生が自転車で走っていきました。


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