ビジネスモデルも市場ありき


社労士会の研修を受けてきました。
技能実習生の搾取事例などを学びました。
安い労働力として搾取する事業主が少なからずいる。
そのような現実が横行してきたから、制度改正になるわけです。

事例は縫製業でした。
私がケアマネをしていた頃、かつて縫製業だったという
高齢者の方がたくさんいました。
中には、自宅を工場に改築し、住み込みの人を10人雇うやり手の方もみえました。
ですが、もう30年近く前に、多くの方が廃業していました。
完全な下請け構造なので、受注量も減り、単価も下がってもそれを受け入れざるを得ない。
手作業による技術職なので、機械化すれば当然、手作業工程もそれを担う人も必要なくなるわけです。

労働基準法違反で技能実習生を搾取することは悪いことなのですが、
そのような市場環境下で事業を継続していたら、このような事件が発生するのは
ある意味必然だな、と感じました。

市場が変化し、従来のビジネスモデルが成り立たなくなったわけです。
儲けるにも一定の市場規模が必要になる。一定の市場規模があれば、競合もいる。
しかし、やがて市場も成熟・衰退と変化していくと一人勝ちの状態になっていく。
大きな資本がある競合は大きなパイをとり、小さな資本は小さなパイをとっているが、
衰退市場では小さなパイは儲けが出なくなり撤退せざる負えないからです。

だからビジネスモデルは市場ありきなのです。
市場には2種類ある。
顧客市場と労働市場。
介護事業の場合この労働市場がより重要になる。
なぜなら、顧客である高齢者層は当分増える。
が、問題はそれを担う人材を確保できない。
仕事があってもそれを担うオペレーションが破綻してしまい事業継続できない懸念がある。

だから介護事業者には人材マネジメントが必要だと強く思います。
少ない担い手から選んでもらえるような魅力ある職場をつくるためには、そこで今働いている人が
いきいきしていないダメです。
介護事業も当然、顧客市場は重要ですが、資本の大きな大手と競争していくうえで、労働市場に目をむけて
介護人材をいかに確保していくかは、さらに重要と感じます。


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